概要

趣旨・目的

 平成30年度『男女共同参画推進の学び・キャリア形成支援事業』における研究協議会(以下、「平成30年度事業」)の実施を通じて、2つの特徴的な事業のあり方を把握することができた。(1)大学が中心となった女性の学びとキャリア形成支援、(2)困難な状況にある女性のための学び直しを通したキャリア支援の2つである。
 平成31年度の事業では、この2つについて検討を深めると同時に、(2)については、全国の男女共同参画センター等での展開を念頭に置いてプログラムのモデル化を行い、その成果を特設ウェブサイトならびに研究協議会において発信する。また、(1)、(2)に共通するものとして、「学び」によって身に着けるべき核となる能力とは何かについての知見を探る。


背景

(1)大学が中心となった女性の学びとキャリア形成支援

 変化が激しく、かつ人生100年時代といわれる現代社会において、長い時間軸でマルチステージの人生を歩んでいくためには、必要に応じて知識やスキルを習得するための再教育の重要性が高まっている。従来から、一般教養を身に着けるための講座や、一定の資格を保有している者を対象にした最新知識獲得のための講座、資格取得を目的とする講座などを開講する大学は少なくない。
近年、女性の活躍推進が叫ばれる中、大学が中心となり、その知的資源を活用しつつ、地域と連携して女性のキャリア形成を支援することを目的とした学び直しの機会を提供する試みが各地で実施されている。平成30年度事業で取材した国立大学法人富山大学男女共同参画推進室による「学び直しを通じたオーダーメイド型キャリア形成支援事業」、学校法人日本女子大学リカレント教育課程ほか、公立大学法人福岡女子大学地域連携センターによる「イノベーション総出力を持った女性リーダー育成プログラム」などを例として挙げることができる。これらのプログラムは、特定の分野の知識やスキル習得に重点を置くというより、社会人としての基礎的かつ実践的知識や、リーダーシップ発揮のための基礎力など、汎用性が高い知識や能力の獲得を目指している点を特徴として指摘できる。
 平成31年度事業では、大学が中心となった女性の学びとキャリア形成支援に関して、特定の資格取得等の分野限定型ではない事業のあり方について情報を収集し、実施体制(地域の産業界、男女共同参画センター等との連携を含む)、プログラムの構成要素等について比較検討し、その成果と課題について広く情報発信する。

(2)困難な状況にある女性のための学び直しを通したキャリア支援

 平成30年度事業では、(公財)せんだい男女共同参画財団による「自立を目指す女性のための“学び直し”を通したキャリア支援事業」を取材した。当該事業は、高校中退や中卒者など10代で十分な学びの経験を得ることができず、就職活動においても影響を受けている女性を対象に、伴走型の学習支援とキャリア支援を提供する事業である。
 類似の事業例としては、平成30年事業ポスターセッションに参加した認定NPO法人ウィメンズネット・こうべによる「WACCAスクール」など民間団体による取組例も見られる。各地の男女共同参画センターでは、就業支援の観点からシングルマザー支援事業や若年無業(非正規)女性支援事業などに取り組んできた実績があり、学び直しの視点を加えたプログラムのモデル化を行うことで、平成31年度事業の成果を全国に拡げていく展望を開くことができる。仙台、神戸以外での類似取組例についても情報収集するとともに、対象層の把握、プログラムを実施する環境面での配慮、学習支援とキャリア支援の連携、学習支援の内容等について検討の上、モデル化する。
学ぶ力を身に着ける経験の不足は経済的な困難をもたらし、貧困による教育格差は社会階層の固定化につながることが指摘されている。困難な状況にある女性のための学び直しプログラムのモデル化は、社会課題の解決の一助となる方策を提示できると考える。


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連絡先・所在地

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