モデル事業:大阪の事例

ターゲットセグメント(対象細分化)による学び直しで
キャリア&ライフデザインの立体的支援

 大阪府は、女性の就業率は全国ワースト3、М字カーブも全国平均より深いという現状にあります。平成27年度大阪市男女共同参画に関する市民意識調査によると、再就職したい女性がそれを実現していない理由に、3人に1人が「必要な知識や能力が備わっているか不安を感じる」、あるいは「仕事と家庭の両立の自信がない」があがっています。
 こうした女性たちは多様なライフコースを持つため、対象を細分化してそれぞれに合った関心喚起やサポートがあると具体的な行動につながるのではないかと「女性のためのキャリアデザインプログラム」が企画されました。事業概要をお伺いするため、12月20日、大阪市男女共同参画のまち創生協会の、沢田薫企画調整課長を訪ねました。

この事業の概要

 女性の多様な生き方に対応できるよう、ターゲット別キャリアデザインプログラムでニーズに合った内容を学び、プログラム終了後の複合型フェスタにおいて人と情報の交流を図り実践に向けた支援が可能な仕組みになっています。
 具体的には、様々なライフステージにある女性たちのキャリアステージとニーズを基軸に、(1) ターゲットセグメント及びコンセプトメーキング、(2) 大学、企業、男女共同参画センター(大阪市男女共同参画のまち創生協会)が連携し、それぞれの強みを活かした学び(セミナー)を提供(キャリアデザインプログラム)、(3) 市民を巻き込んだテーマ複合型フェスタを地域で開催し、セミナー参加者、連携機関の構成員、地域の活動家等の人材や情報を交流・共有して、女性の学びとキャリア形成を一体的に行います。


大阪市男女共同参画のまち創生協会 企画調整課長 沢田薫さん
  株式会社アクセプト コンサルティングマネージャー 桑山幸恵さん

沢田薫さん

 大阪市男女共同参画のまち創生協会は、これまで女性のキャリア形成やチャレンジ支援、情報発信、女性相談等に取り組み、女性のサポートに関する様々な知見を蓄積していますが、多様なニーズに応えるため、他機関との連携をもう少し進めたいと考えていました。
 当事業は、リカレント教育における学術的知見、研究機能をもつ「大阪市立大学」とマーケティング分析や企画スキル、企業での女性戦力化ノウハウをもつ「株式会社アクセプト」と「大阪市男女共同参画のまち創生協会」の三者が連携することで、多様なライフサイクル、ライフコースを持つ女性たちに立体的なキャリア支援ができるようになったと思います。

桑山幸恵さん

 ターゲットセグメントとコンセプトメーキングについて、女性のキャリアステージを、①地域を支える存在として、②企業内ロールモデルとして、③強みを活かした起業家として、キャリアを切り開くことができるよう、意識と行動を喚起します。
 そして、キャリアの多様さに気づく学びにつなげるために、各プログラムの受講者が、他のプログラムにも参加可能な日程を設定しました。どのようなステージの女性であれ、「学び・考え・つながり、未来(キャリア)をデザインする」ことをねらいとしています。
 3つのプログラムで収集した情報や育成人材は、市民に開かれたテーマ複合型フェスタで活用し一体的となって、地域の活動家たちを巻き込んで事業ネットワークをさらに拡大していく仕組みです。


他業種交流&キャリアアッププログラム受講者 Y.Kさん(30代)

 インフラ企業で営業職として仕事をしていますが、今は育児休業中です。子どもが一歳の時に保育園に入ることができず2年目になりました。クレオ大阪の保育付きのセミナーに参加していた時に館内のポスターを見て、参加を決めました。これまでは深夜に及ぶ働き方をしていましたが、今後どのような働き方をすればいいのかを考える機会になりました。仕事を続けるか、やめるかの二者択一しかないと思っていたけれど、その間の働き方を模索することもできるのではないか、一歩前に進んでみようという気持ちになりました。社外の育児休業中の女性から率直な意見を聞けたことがよかったし、ディスカッションを通じて論理的なコミュニケーションができて思考回路を仕事モードに戻すことができました。役職に就く前に育休に入りましたが、子育てと仕事の葛藤の中で役職に就いている女性の話を聞いてみたいです。


女性起業家START UPプログラム受講者 くりたみほさん(30代)

 今は友人が経営している親子カフェを手伝って親子向けのパン教室を開催しています。子どもは保育園に入っています。自分が住んでいる地域でも親子カフェをやってみたいと考えてこの講座を受講しました。このような講座はいろいろな人とのネットワークづくりの場(縁作り)だと思っていましたが、それだけでなく目標シートを作成することによって具体的にすべきことが見えてきました。これまで雇われて働いたことしかなかったのですが、自分で起業するためには何が必要なのかわかりました。今は親子カフェの場所探しをしているところですが、交渉する際に講座で学習したことがとても役に立っています。やりたいことを具体化するために相談できる場所があればいいと思います。クレオ大阪の「女性チャレンジ応援拠点」にも行ってみたいです。


市民活動チャレンジサポートプログラム受講者 C.Iさん(30代)

 この講座に参加したのは大学の職員に声をかけられたのがきっかけです。結婚して大阪に来て今は大学の事務職員をしていますが、結婚前は宮城県のNPOで働いていました。仕事をしながらも週末などに何かできることはないかと考えて受講しました。大学の講座だったので、事例だけでなく大学の先生の統計に基づくは講義もあって興味深かったです。また、市民活動のハードルが高くないこと、楽しくできそうなこともわかりました。来年は社会福祉関係の仕事に転職する予定ですが、子どもの居場所づくり活動のボランティアができればいいと考えています。仕事をしている何度もセンターに行くのは難しいので、SNSで情報が得られるといいと思います。